楽譜ライブラリ

MusiXTeXとは楽譜作製用のTeXマクロです.非常に高品質な楽譜を作製することができます.HTMLのようにテキストで作っていくので慣れるまでなかなか大変ですが,一度マスターしてしまえば強力なツールです.私はこのためにTeXを勉強したくらいです. また,PMXというMusiXTeXのプリプロセッサを使えば簡単にきれいな楽譜が作れます.詳しい話はMusiXTeX入門 (北村さん制作,サイト消滅につきインターネットアーカイブへのリンク [2005/7/8])をご覧ください.

ここでは,MusiXTeXを使って弦楽合奏用の楽譜のデータを掲載していきたいと思います. 楽譜に誤りを見つけたら是非教えてください.

PDFファイルはAdobe Acrobat Reader(無料)をインストールしてあれば見ることができます.DVIファイルを見るためには600dpiのMusiXTeXフォントが必要です.

楽譜リクエスト】実施中

(2003/2/9)

掲載楽譜のPDFの解像度を改善しました.

(2005/7/12)

ヴァイオリンの練習曲についてはこちら


シベリウス:アンダンテ・フェスティーボ

2008年1月1日をもって,日本,カナダなど著作権保護期間が50年の国でのシベリウスの著作権は消滅しました.
(アメリカ合衆国,EU諸国,ロシアなどでは著作権は存続していますのでご注意ください.)

(2008/1/1)

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ニールセン:小組曲

 3楽章を公開します.全楽章とも誤植の可能性があるのでスコアと比較してチェックしてから使用してください.

(2008/1/1)

 2楽章,Viola, Cello, Contrabass追加しました.1楽章も一部修正しました.

(2006/3/11)

 2nd Violinも追加.1st Vnも間違いを修正.他のパートはまったく手をつけていないので,完成は未定です.

(2005/12/25)

 2楽章は作りかけで中断したままになっていましたが,1st Violinは出来かかっていたので,ちょっと手を入れてみました.まだ怪しいところがありますが,公開してみます.

(2005/12/23)

 今週末,天気が良くないので久々に楽譜を作ってみました.以前より作ってみたかったニールセンの小組曲より第1楽章です. 製作期間半日とちょっとなので出来はそれなり,チェックも甘く間違いもあるかもしれません.見つけたら教えてください. PMXでトレモロの記号?を入れるのが難しく余計に時間がかかりました.2楽章以降の作成は未定です.

(2004/7/11)

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バッハ:G線上のアリア

ちょっと手直ししてみました. (2007/12/7)

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グリーグ:過ぎにし春

ちょっと手直ししてみました. (2007/12/7)

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クロイツェル:ヴァイオリン練習曲

 ヴァイオリンを習ったことがある人なら誰もが知っている練習曲「クロイツェル(Kreutzer)」.習ったことのないひとでも,ベートーベンのヴァイオリン・ソナタ「クロイツェル」はご存知でしょう.このソナタはその時代の大ヴァイオリニスト,クロイツェル(1766-1831)に献呈されたものです.彼は,ヴイオッティの弟子で,兄弟弟子にはローデ,バイヨーがいます.(あのヴァイオリンレッスンに使われる24のカプリースのローデです.)この練習曲は全42曲ありますが,第2番はもっとも基礎となる曲です.このような曲はPMXで最も作りやすく,あっという間に出来てしまいました.ソースも短いです.ついでに,PMXで自動生成されたMIDIファイルも掲載しておきます.

No.2 MIDI

ヴァイオリンの練習曲について,もっと知りたい方は下段をご覧ください.

オッフェンバック:セレナーデ

リハーサル中

サンプル画像(GIF)

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おまけ:ヴァイオリンの練習曲

 楽譜のところにクロイツェルの説明をちょっと書いてあるだけなのですが,Googleで「ヴァイオリン」と「練習曲」で検索すると,なぜかこのページがトップに出てしまいます.このキーワードで検索してくる人ががっかりするといけないので,もう少しヴァイオリンの練習曲について記載しておきます.(注:私はプロでも教師でもないので,あくまで自分の経験と耳学問から記述しています)

 楽器のレッスンでは一般的に「音階」(スケール, scale),「練習曲」(エチュード,etude),ソナタや協奏曲などの「曲」の3つを並行して練習します.ヴァイオリンの練習曲で最も良く使われるのは カイザー [Heinrich Ernst Kayser(1815-1888): Elementary and Progressive Studies for Violin Op.20] と クロイツェル [Rodolphe Kreutzer(1766-1831): 42 Etudes for Violin] というのは異論の無いところだと思います.クロイツェルといえばベートヴェンのピアノとヴァイオリンのためのソナタ第9番ホ長調作品47「クロイツェル」を思い浮かべるかもしれませんが,このソナタを献呈されたのが,その当時の著名なヴァイオリニストであったクロイツェルです.クロイツェルはヴィオッティの弟子で,兄弟弟子にローデ(ロード),バイヨーがいます.
 カイザーは36曲,クロイツェルは42曲あり,まずカイザーから始め,これが終了すると次にクロイツェルとなります.カイザーでは,前半で1stポジションの基本的な奏法を練習し,中盤からはポジション移動が必要となりトリルも少し出てきます.後半はポジションもより高くなり,オクターブ移弦の曲も出てきます.カイザーは曲が長めで大変なので,似たような繰り返し部分を省略し短縮して使用されることが多いようです.クロイツェルは前半が単音,中盤はトリル,後半が重音の練習曲です.合奏の曲を弾くのであれば単音の練習でもよいですが,トリルは小品や室内楽などで,重音は協奏曲のカデンツァやバッハの無伴奏などで要求されるので,必ずしも順番どおりではなく目的に応じて使用することもあるようです.クロイツェルが終了するくらいになると,おおよその曲は一応自分でさらえる(※「弾ける」ではない)ようになるのでアマオケなどに参加しても結構楽しめるでしょう.両者とも,スラーや奏法を変えて弾くいわゆる「代え弓」が記載されており,同じ曲を複数パターンで練習します.

 しかしクロイツェルが終わっても練習曲の長い道のりはまだまだ続きます.難易度順に,クロイツェルの兄弟弟子である ハイフェッツの師匠レオポルド・アウアー[Leopold Auer (1845-1930)] のそのまた師匠でもある ドントのカプリース[Jakob Dont(1815-1888): 24 Etudes and Caprices Op.35 for Violin Solo],クロイツェルの孫弟子にあたる ヴィエニャフスキのカプリース[Henryk Wieniawski(1835-1880): Ecole Moderne Etudes-Caprices Op.10 for Violin Solo],などが適宜用いられ,最後は有名なパガニーニのカプリース[Nicolo Panganini(1782-1840): 24 Caprices Op.1 for Violin Solo] となります.ヴィエニャフスキやパガニーニまでくると,コンサートでも演奏されるような立派な曲ですので「練習曲」というのは失礼かもしれません.楽譜を見ると尋常ではないように(私には)見えますが.ここまで弾きこなせればセミプロ以上の技術が習得されているといえるでしょう.

 セブシック[Otakar Sevcik (1852-1934)] やシュラディック[Henri Schradieck(1846-1918)] という練習曲も並行して良く用いられますが,これらは様々な技術に応じて単純なパターンを繰り返して練習するもので曲の形にはなっていません.その他,マザス[Jacques-Fereol Mazas (1792-1849): Etudes Speciales Op.36], ドントの「クロイツェル,ローデへの24の予備練習」[24 Studies Preparatory to Kreutzer and Rode Studies Op.37], フィオリロ[Federigo Fiorillo(1755-1823): 36 Etude for Violin], ガヴィニエ(ギャヴィニエ) [Pierre Gavinies(1728-1800): 24 Studies for Violin] なども指導者の好みによって適宜用いられます.

 先にも少し書きましたが,パガニーニやヴィエニャフスキは曲としての完成度が高いので演奏会で取り上げられることもありますが,他の練習曲の多くは基本的に技術的練習の目的のために書かれており,あまり鑑賞には向きません.しかし一部,少ないながら録音がありまして,有名なところではオスカー・シュムスキー[Oscar Shumsky (1917-2000)]によるローデ:24のカプリース の世界初録音があります.しかも,このときに使用された楽器がストラディバリウス「ローデ」すなわちローデ自身が使用していたストラドというのが面白いところです.(そうでもなければ,あえてこの曲を録音しなかったかも)

 NAXOSからローデのCDが発売されるようです.[演奏:アクセル・シュトラウス(Axel Strauss),8.570958] (2009/11/4追記)

 また面白いCDとしてカナダのヴァイオリニスト,Steven Staryk が録音した Every Violinists Guide というのがあります.こちらは,様々な練習曲の一部をピックアップ(Kayser:4,Mazas:8,Kreutzer:2,8,35,Fiorillo:3,14,28,Rode:2,8,17,21,Dont:2,Wieniawski:1,5,7, Paganini:5,9,14,16,19,21,24,Sevcik:2/21-24,Schradieck:3-12, etc.) したものです.ヴィエニャフスキのカプリースは,ヴァイオリン曲の録音百科事典とも言われるリッチ[Ruggiero Ricci(1918-)] の CD があります.他にも以前,掲示板で紹介したポーランドのヴァイオリニストによる ヴィエニャフスキ:ヴァイオリン小品集 にも全曲が録音されています.


 クロイツェルのCDは練習本のおまけとしてはありましたが,なんとCPOから発売されたことが判明しました.

Rodolphe Kreutzer: 40 Etudes ou Caprices pour Violon (CPO:5210471) 早速,発注しました.しかし,なぜか40曲...どうも13番と25番が入っていないようなのですが,なぜ,そんな中途半端なのか.長すぎて入りきらなかったのでしょうかね.(2008/12/10追記)

 CDが届きました.解説を見ましたが,詳しく曲の説明は書いてあるものの40曲が普通だといわんばかりで,番号も13番と25番をスキップしていて,通常のものとずれています.CD2枚組で時間的余裕も十分あるのですが.謎です.ちなみに演奏はエリザベス・ウォルフィッシュ[Elizabeth Wallfisch (1952-)] というオーストラリア出身でイギリス在住のバロック・ヴァイオリニストです.(2008/12/19追記)

 上記の件につきCPOに問い合わせたところ,なんと演奏者のウォルフィッシュさん御本人より直々にメールをいただきました.それによりますと,パリ音楽学校の初版や1800年代のFerdinand David版(IMSLPに楽譜あり)では40曲しかなく,現在の版の13番と25番は後で加えられたものでクロイツェルの作曲によるものではないと考えられるとのことでした.しかも「実際に弾いてみれば明らかです」と.確かに13番はバッハの無伴奏チェロ組曲にそっくりですが,クロイツェルの作曲ではないとまでは恥ずかしながら気づきませんでした.ということなのですが,レッスンでこの2曲をやることになっても,先生に「クロイツェルのオリジナルじゃないから弾きません」とか,間違っても言わないように(笑)(2009/1/28追記)

 自分はドイツのヴァイオリン指導者によるゼーリングの最新ヴァイオリン教本[Hugo Seling: Die neue Geigenschule] という教本をカイザーと並行して使用していました.この教本は左手の形に合わせて上記の練習曲を含む様々な曲が抜粋されて組み合わされており,調を意識しなくても良いという点で非常に分かりやすいものでした.例えば1ポジで1-2間が全音,2-3間が半音,3-4間が全音の指の形を練習するために,G,D線を使うト長調の曲とA,E線を使うイ長調の曲が一緒になっています.頭で理解できるので特に大人の方にはお勧めだと思うのですが,残念ながら国内版(音楽之友社)が絶版となっており,使用される頻度はかなり減っているようです.
 ちなみに音階は小野アンナ(1898-1979)のヴァイオリン音階教本 ,それを終わるとカール・フレッシュ[Carl Flesch(1873-1944):Scale Sysyem for Violin] が,曲集は新しいバイオリン教本1-6が良く使用されます.

 バイオリン音楽のページ(インターネットアーカイブ)に,レッスンでよく用いられる教本や練習曲,曲のMIDIファイルがたくさん掲載されていますので参考にしてみてください.
※ 初心者の方へ:このMIDIファイルで音程をとって練習しようなどということは【絶対に】してはいけません.


【ヴァイオリン練習曲の無料楽譜リンク】(IMSLP)
 果てしなき練習曲の世界を垣間見ることができます.ヴァイオリンをかじったことのある人は,めまいがする場合もあるのでご注意を.
※ 練習曲は長く使う大事なものですから,以下で内容を確認したら,きちんと製本されたものを購入しましょう.

(2008/11/8)
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