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1904年,ギリシャの音楽家の家庭に生まれたスカルコッタスは,早くから音楽的才能を見出され5歳からヴァイオリンの手ほどきを受けました.1920年にアテネ音楽学校を金賞で卒業し奨学金を獲得.翌年,ベルリンに留学しヴァイオリンのレッスンを受けていましたが,1923年にヴァイオリニストの道を諦め作曲家になることを志します.
この頃に結婚し子供も儲けました.1927年には奨学金を得てシェーンベルクの作曲クラスに入会します.しかし1931年にトラブルで退会,更には妻と離婚して鬱状態となり,作曲を中断してしまいました.1933年,スカルコッタスはアテネに戻り,オーケストラで演奏することで生計を立てながら作曲を再開します.しかし前衛的な彼の曲は当時の音楽界で注目されることはなく,1949年,45歳で突然生涯を閉じました.
スカルコッタスは,シェーンベルクの影響による12音技法の無調音楽と民族的な調性音楽を並行して作曲した珍しい作曲家です.後者の曲で彼の代表曲でもある「36のギリシャ舞曲」は,1931年から1936年に段階的に作曲されました.当初はオーケストラの曲として書かれたこの曲を,彼は終生に渡ってピアノソロから吹奏楽まで様々な編成へと編曲していきました.
この「5つのギリシャ舞曲」は,スカルコッタスが36曲から抜粋し自身の手で弦楽四重奏に編曲したものに,彼の死後,指揮者であるウォルター・ゲーア(Walter Goehr [1903-1960])がコントラバスパートを追加したものです.2曲目の「クレタの踊り」の主題はクレタ島のペントザリと呼ばれる民族舞踊から,3曲目の「鷹」の主題は最も有
名なギリシャの民族舞踊から,それぞれ引用されていますが,1曲目「エピロスの踊り」4曲目「アルカディアの踊り」5曲目「クレフテスの踊り」の主題は作曲者自身の創作によるものです.
編成:2Vn, Va, Vc, Cb
演奏時間:約12分
Orchestra Filarmonica di Torino, 2013.
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